バリ島は、神々の島、祈りの島と呼ばれる程に、人々は朝から晩まで1日に何度もお祈りをする信仰心の厚い島です。バリ人はバリヒンドゥー教を信仰しており、その神様は自然界や物にも宿り、あらゆるところに存在していると考えられています。
バリ島に行った時、道路にお花と線香が飾られたものが置いてあったけど、あれっていったい何なのかしら?
バリの人々は日々、お祈りする時、神様の為にお供えをします。お供えは祭事の際に、お寺に奉納する大きな物から、毎日使われる花の乗ったチャナンと呼ばれる小さなものまで色々ありますが、今回はチャナンがどんなものなのか紐解いていきましょう。
チャナンって一体何なの?
チャナンは、バリ人が神様に「今日も1日良い日になりますように」と、お祈りをする時に捧げるお供えです。このチャナンは、毎日家庭で手作りされたり、最近は仕事に出る女性も増えたので、御供物を売る店や、早朝のパサールと呼ばれる市場で購入できます。
チャナンは何から出来てるの?
チャナンは、椰子の葉で作られた四角や花形のお皿に、色とりどりのお花に、パンダンと呼ばれる草を細く切ったもの、ご飯や飴、ビスケットと言ったお菓子等が乗せられています。日本人がお仏壇やお墓にお供えするのと同じ捧げ物と言えるでしょう。
チャナンはどこにお供えされてる?
チャナンは、神様がいる場所には必ずお供えされます。例えば、家庭内だとバリ人の自宅に必ずあるサンガと呼ばれる家寺に捧げられます。この家寺は、ホテルの敷地内にも必ずあって、ホテル内を散歩しているとスタッフさんがお供えしてお祈りをしているのを多々見かけます。
チャナンは、バリ島に到着すると、空港をはじめ、ホテル、レストラン、スーパーマーケット、お土産物屋、銀行や病院と、バリ島内で人々が生活している至る所にお供えされています。バリ島に来るとこんなに神様がいるんだと驚くかもしれないですね。
さらにチャナンは、家の中の神棚や台所、井戸、車やバイク等、日々人々が使っている物にお供えされ、家の前や道路にもお供えされます。
道端のお花が添えられたチャナンは踏んでも良いの?
実はこのチャナン、神様だけでなくて悪霊にも供えられます。バリヒンドゥー教は、善と悪、陰と陽、山と海、昼と夜と、相反する事象で世界が成り立っていると考えられており、そのバランスが大切とされています。その為、神様だけでなく悪霊にもきちんとお供えをするのです。
ちなみに高いところにお供えするのが神様で、地面にお供えするのが悪霊とされているのもユニークで、悪霊には「悪い事をしないでね」とお祈りするそうです。
チャナンは一度お供えされたら、もう用事は済んだとバリヒンドウー教では考えられています。自然素材で作られているので、そのままゴミになっても土に還るとされています。そのため、道端のチャナンを踏んだり蹴ってしまってもなんの問題ありません。
注意!観光客の多いエリアで、チャナンを踏んだからお金を払えと、文句を付けてくる人がいる情報もありますが、全く気にせず一切無視で構いませんし、もちろんお金を払う必要もありません。
チャナンを作ってみよう
チャナンはホテルのアクティビティとして「チャナン作り体験」出来るところもありますので、もし作ってみたくなったらホテルに確認してみましょう。かわいいチャナンを作るとちょっとバリ人気分になれるかも?!
世界広しですが、このチャナンのようなお供えは、バリ島以外ではあまり見かけたことがありません。それ程にバリヒンドゥー教は、このバリ島ならではの伝統的な宗教といえるでしょう。小さなチャナンにも色々なバリ人の思いが込められていますが、お供えされた後は踏んでしまっても大丈夫です。